妊娠・出産は女性の体に大きな変化をもたらします。産後のむくみもその一つ。むくみでパンパンになった足を見て、驚いた方も多いでしょう。
産後はホルモンバランスが変化することに加え、赤ちゃん中心で不規則な生活になるため、むくみが起こりやすい状態です。気になるむくみを解消するためには、原因の見極めと適切なケアが欠かせません。
産後に現れるむくみの症状と原因、解消法やサポートグッズについて解説していくので、ぜひむくみの解消に役立ててください。
目次
産後のむくみがとにかくつらい!どんな症状?ピークは?いつまで続くの?
産後にむくみが起こり、「こんなにむくんで大丈夫なの?」「もっとひどくなったらどうしよう」と不安になる方もいらっしゃるでしょう。
程度や期間には個人差がありますが、産後のむくみは多くの方に現れます。多くの場合は、時間の経過とともに自然と引いていくため、あまり心配はいりません。症状がひどく心配であれば、助産師や医師に相談するといいでしょう。
適切なケアをおこなうためにも、産後のむくみがどのように現れるのか、症状や期間について確認しましょう。
症状としては象の足のようにパンパンになる
体の水分がきちんと排出されず、皮下組織に余分な水分がたまることでむくみが起こります。足の甲がパンパンになりサイズアップする様子から、象の足と例えられることもあります。
長時間歩いたり、同じ姿勢で座っていたりしたときに、足のむくみを経験したという方も多いのではないでしょうか。
産後は出産や授乳による血液不足などによって水分のバランスが崩れ、いつもよりむくみやすい状態にあるため、見たことがない状態までむくんでしまうことがあります。
足・顔・手がむくみで悩みがち
産後には、足や顔、手などにむくみが現れやすいといわれています。とくに足は体の末端にあるため、重力の影響でむくみやすい部位です。
足の甲やすねなどパンパンになっている部分を、指で10秒間押してみましょう。指を離してから5秒たっても指の跡が消えない場合、むくんでいる可能性が高いです。
また、顔がむくむと、目が腫れてはれぼったくなったり、顔がパンパンになって大きく見えたりします。手足や顔は目につきやすい部分なので、むくみがより気になってしまうでしょう。
産後2日後がむくみのピーク!
産後のむくみの現れ方には個人差がありますが、産後2日目でピークをむかえる方が多いです。
どんどんむくんでいく様子に、「これ以上ひどくなるのでは?」と心配になるかもしれませんが、ピークをむかえた後は自然と落ち着いていくためご安心ください。
しかし、産後2日目から赤ちゃんのお世話を本格的におこなうことが多く、心身ともに忙しい状態となるため、むくみのケアをする余裕がない方も多いようです。
むくみは10日前後で引いてくる。遅くでも1か月ほどで引く
産後2日目にピークをむかえた後は少しずつむくみが引いていき、10日ほどで目立たなくなることが多いです。
産後の体調や体力、過ごし方などによっても変わってきますが、遅くとも1か月ほどで治まるといわれています。
1か月経ってもむくみが治まらない場合には、生活習慣や食生活を見直してみましょう。また、担当の医師に相談することをおすすめします。
帝王切開で出産した場合はむくみやすい
帝王切開の方が、自然分娩に比べてむくみやすいといわれています。帝王切開は自然分娩よりも安静期間が長く、産後に体を動かす機会が少なくなるためです。
体を動かさないと、血行が滞り、むくみが起こりやすくなってしまいます。また、帝王切開は点滴の量が多くなるため、体内に入る水分量が増える分むくみやすくなります。
それでも、傷口が治り、徐々に体を動かせるようになればむくみは落ち着いてくるので、それほど心配はありません。無理をせずに、まずは体の回復に専念しましょう。
産後のむくみの原因は何なのか
産後のむくみの原因には、妊娠・出産による体の変化と、赤ちゃん誕生による生活の変化などが関係しています。
むくみを解消するためには、原因となっている事柄を取り除くことが大切です。そのためにも、自分のむくみの原因をチェックしてみましょう。
体のどんな変化がむくみを起こすのか、どんな生活を送るとむくみやすくなるのかを紹介します。
1:ホルモンバランスが乱れる
むくみの大きな原因は、ホルモンバランスの乱れです。出産前には女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンが多く分泌されますが、出産後には分泌が抑えられます。
そして出産後には、母乳の分泌に必要なプロラクチンというホルモンの分泌が増えるようになります。
このように、ホルモンの分泌が変化することから、ホルモンバランスが乱れ、むくみが起こりやすくなると考えられています。
2:体内の水分量の変化
妊娠・出産によって体内の水分量が大きく変化し、水分バランスが乱れることも、むくみを起こす原因の一つです。
妊娠すると血液や羊水など体内の水分量が大きく増えますが、出産によって一気に減少します。また、産後の母乳育児によっても、体の水分が失われていきます。
そのため、体が失った分の水分を取り戻そうとして体内に水分をため込み、むくみを招くことがあります。
3:睡眠時間の不足
出産後から数時間おきの授乳が始まるため、夜間にまとめて眠ることが難しくなります。
それに加えて、赤ちゃんのお世話に追われるため、睡眠不足となるママがほとんどです。
十分な睡眠時間は、自律神経を整えるために欠かせません。睡眠時間が不足すると自律神経が乱れてしまい、血行が悪くなってむくみが起こりやすくなります。
赤ちゃんと一緒にお昼寝をするなどして、できるだけ睡眠時間を確保するようにしましょう。
4:育児疲労やストレス
出産後は赤ちゃん中心の生活になるため、今までの生活リズムとガラッと変わります。慣れない育児に戸惑いや不安を感じ、疲労やストレスがたまることも多いでしょう。
疲労やストレスも、自律神経を乱してむくみを起こしやすくするため注意が必要です。
また、育児によって思うように体を動かせないことも影響しています。授乳や抱っこなど同じ姿勢を長時間とっていると、血行が悪くなってむくみを招きやすくなります。
産後のむくみの解消法とむくみケアグッズを紹介
産後のむくみは時間とともに引いていくとわかっていても、気になってしまうものです。「できるだけ早く改善したい!」と思う方も多いのではないでしょうか。
産後のむくみをできるだけ早く改善するためには、マッサージやストレッチなどのケアをしたり、サポートグッズを活用したりすることが効果的です。
産後のむくみケアに役立つ、解消法やグッズについて紹介します。手軽にできる方法ばかりなので、ぜひ試してみてください。
産後のむくみの解消法4選
産後のむくみを解消するには、マッサージやストレッチ、適度に体を動かすなどして、血液やリンパの流れを促すことが効果的です。
ただし、解消法は自分の体調やペースに合わせて、無理のない範囲で続けなければなりません。十分な休息をとることと、赤ちゃんのお世話を第一にして、余裕のあるときにおこないましょう。
また、むくみケアに効果的なグッズの活用もおすすめです。
①マッサージとストレッチ
マッサージは、リンパの流れを促し、むくみの解消に役立ちます。手足のマッサージをするときには、末端から心臓に向かっておこないましょう。
強くこするのではなく、やさしくなでるようにするのがポイントです。顔のむくみには、耳と鎖骨まわりをマッサージして、リンパを流すと効果的です。
また、軽いストレッチをして体の凝りをほぐすことで、むくみが軽減しやすくなります。スキマ時間を利用して、無理のない程度にストレッチをおこないましょう。
ベッドに横になったまま、足先を曲げたり伸ばしたりするのもおすすめです。座った状態で、手首や足首を回してもいいでしょう。
②適度に体を動かす
適度に体を動かすことも大切です。血行が促進され、むくみの改善に役立ちます。
産後ヨガやウォーキングなどを日常生活に上手に取り入れましょう。筋肉には血液の流れを促す働きがあるため、トレーニングで筋肉を増やすことも効果的です。また、運動する時間がなかなか取れない場合は、家事で体を動かすのもいいでしょう。
ただし、産後は体を休める大切な時期なので、無理は禁物です。体調や医師の指示にしたがって、少しずつ体を慣らしていってください。
③足を高い位置に固定して寝る
足をおろしていると、重力によって水分が足にたまりやすくなってしまいます。足を高い位置におくことを意識して過ごしましょう。
寝るときには、足の下に折りたたんだバスタオルやクッションなどを置き、足を少し高い状態にすることをおすすめします。高くしすぎると睡眠の妨げとなってしまうため、無理のない程度に調整してください。
座るときの姿勢も長時間同じ姿勢にならないようにし、こまめに足を上げたり姿勢を変えたりするといいでしょう。
④着圧ソックスを着用する
足のむくみケアには、着圧ソックスがおすすめです。むくんだ足に程よい圧を加えることで、リンパの流れにアプローチして、スッキリ感を与えてくれます。
着圧ソックスを選ぶときには、自分の足にフィットしたものを選ぶことが大切です。緩すぎると、十分な効果は得られません。逆にきつすぎると、締め付け感が気になり、逆効果となってしまいます。
また、足が冷えると血行が悪くなるおそれがあるため、着圧ソックスで足を温めることもむくみケアに役立ちます。
まとめ
産後はホルモンバランスや水分バランスが乱れやすくなるため、むくみが起こりやすくなります。赤ちゃんのお世話や生活の変化による疲労やストレスも、むくみの原因の一つです。
産後のむくみを解消するには、マッサージでリンパの流れをよくしたり、適度に体を動かして血行を促したりすることがおすすめです。むくみ解消の手助けをしてくれるグッズを活用するのもいいでしょう。
また、睡眠時間やリラックスタイムを確保して、疲労やストレスをためないように過ごすことも大切です。無理のないよう自分のペースで、むくみ対策をおこないましょう。